歯牙欠損(歯科補綴)

本コラムでは、交通事故における後遺障害のうち歯牙欠損(歯牙障害)と後遺障害等級の認定のポイントについて解説いたします。

目次

1 歯牙欠損(歯牙障害)について

交通事故によって、歯が抜けたり、折れたり、欠けたりすることがあります。これを歯牙障害といいます。また、歯牙障害を、義歯、クラウン、ブリッジ、又はインプラント治療などの方法で治療することを、歯科補綴といいます。

2 歯牙欠損(歯牙障害)の治療費

歯牙障害を負った場合、義歯、クラウン、ブリッジ、又はインプラント治療などの治療に必要な費用を請求することができます。基本的には、いわゆる銀歯ではなく、白くて十分な強度のある歯に戻すのに必要な金額が認められます。

また、インプラント治療は、いったん治療が完了した後も、10年後といった一定期間ごとに、歯の交換などの治療が継続して必要になることがあります。こうした将来の治療費についても、将来確実に発生することを歯科医師の診断書などで証明することができれば、合理的な金額の範囲内で、予め請求することができます

3 歯牙欠損(歯牙障害)の後遺障害等級

何本かの歯が歯牙障害(歯科補綴)した場合、後遺障害認定を受けることができます。認定される等級は、歯が大きく欠損してクラウンやブリッジ、インプラントなどの歯科補綴が必要になった歯の本数によって認定されます

後遺障害等級慰謝料額
14歯以上に対し歯科補綴を加えた10級4号550万円
10歯以上に対し歯科補綴を加えた11級4号420万円
7歯以上に対し歯科補綴を加えた12級3号290万円
5歯以上に対し歯科補綴を加えた13級5号180万円
3歯以上に対し歯科補綴を加えた14級2号110万円

4 歯科補綴のポイント

表にある後遺障害の定義では、「歯科補綴を加えた」場合に後遺障害になるように規定されていますが、実際には補綴前でも後遺障害認定を受けることができます。

ただし、後遺障害の対象になる歯の欠損とは、歯が抜けるか、歯茎より上の部分の4分の3(75%)以上を失ったものに限られます。そのため、歯の3/4未満(例えば半分)が欠けて補綴をしたとしても、後遺障害の歯科補綴を加えた歯には該当しません。

また、元々義歯であったり、一部詰め物をしている歯については、歯科補綴に加えるかどうかが問題となることが少なくありません。このとき、生きた歯が3/4(75%)以上残っており、歯全体を1として生きた歯の部分だけで3/4以上を失った場合に、後遺障害の対象になるとする見解がありますが、必ずしもこの場合に限られるわけではないとも言われています。

他方で、歯科補綴によって歯が修復されて使える状態に戻っても、それによって後遺障害がなくなったとされることはありません。義手や義足と同じです。

また、抜けた歯をそのまま刺し直し、歯が生着した場合でも、歯が一度抜けており、歯の神経が切れて失われているため、補綴を加えた歯に該当するとされることが一般的です。

5 歯牙欠損(歯牙障害)と後遺障害逸失利益

歯が欠けた場合でも、通常の職業では仕事に支障は生じないことや、義歯、クラウン、ブリッジ、又はインプラントなどの治療によって仕事に支障のない状態に戻ることから、障害によって就労に支障が生じた分の補填である後遺障害逸失利益は認められないことが一般的です

6 まとめ

歯牙欠損(歯牙障害)に関する後遺障害等級認定のポイントについて解説させていただきました。当事務所では、後遺障害等級認定のサポートを含む交通事故の交渉も対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

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