配置転換の基礎知識

目次

1 配置転換とは

配置転換とは同一の企業内で業務内容や就業場所を変更することをいいます。例えば、地方の支店への転勤・人事異動がこれにあたります。
配置転換は従業員の人材育成、適材適所、組織の活性化などを目的に行われますが、他方で、問題社員に対して本人が望まぬ業務や地方などの僻地への配置転換を命じて、事実上、退職を促すような目的行われることもあります。

2 配置転換の法的根拠

配置転換の前提として、就業規則などに配置転換が行えることが明記されており、配置転換を行えることが労働契約の内容となっている必要があります。仮に就業規則などに配置転換の規定がない場合、配置転換の際には労働者の個別の同意が必要となります。
また、配置転換に関する就業規則があったとしても、配置転換の必要性や目的、人員選択の合理性、労働者が受ける不利益の程度などの諸般の事情に照らして権利の濫用と認められる場合には配置転換が無効とされることもあります。

この点、自分の意に沿わない配置転換命令を受けた場合についても、その配置転換命令を拒否するべきか否かについては慎重に検討する必要があります。有効な配置転換命令に従わない場合、業務命令違反として最悪解雇されるリスクもあるからです。この点、どのような場合に配置転換命令が無効となるかについてはケースによって異なりますので専門家である弁護士に相談した方が良いでしょう。

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G&S法律事務所
野崎 智己(Nozaki Tomomi)

弁護士法人G&S法律事務所 パートナー弁護士。早稲田大学法務部卒業、早稲田大学大学院法務研究科修了。第二東京弁護士会にて2014年弁護士登録。弁護士登録後、東京丸の内法律事務所での勤務を経て、2020年G&S法律事務所を設立。スタートアップ法務、医療法務を中心に不動産・建設・運送業などの企業法務を幅広く取り扱うとともに、離婚・労働・相続などの一般民事事件も担当。主な著書として、『一問一答 金融機関のための事業承継のための手引き』(経済法令研究会・2018年7月、共著) 、『不動産・建設取引の法律実務』(第一法規・2021年、共著)、「産業医の役割と損害賠償責任及びその対処」(産業医学レビューVol.32 No.1・令和元年、共著)、『弁護士のための医療法務入門』(第一法規・2020年、共著)等。