相続の流れ

相続が発生した場合、税務申告や遺産分割などの手続を進める必要がありますが、各手続には期間制限などが設けられています。以下では各手続の流れと概要、注意事項について解説します。

目次

相続の流れの全体像

*遺留分侵害権は、遺言書がある場合にも最低限の額を請求できる権利です。相続の開始等を知った時から1年または相続開始から10年以内に請求できます。

被相続人の死亡

遺言書あり*

遺言書なし

公正証書遺言

自筆証書遺言等

相続人の調査・確定

検認

相続財産の調査

遺言の執行

相続放棄・限定承認等3ヶ月以内

被相続人の所得の
準確定申告・納付4ヶ月以内

遺産分割協議

成立

不成立

遺産分割
協議書の作成

調停・審判

遺産分割の実行

相続税の申告・納付10ヶ月以内

1 被相続人の死亡(死亡届の提出)

死亡届の提出は、被相続人が死亡したことを知った日から7日以内(被相続人が国外で死亡したときは、その事実を知った日から3か月以内)に行う必要があります。

死亡届の提出先は、被相続人の死亡地・本籍地又は届出人の所在地の市町村、区役所又は町村役場になっています。

死亡届を提出する際は、原則として死亡診断書又は死亡検案書を添付することになっています。

2 遺言書

(1)遺言書の有無の確認

遺言書の有無によって、今後どのような手続が必要になるかが大きく変わってくるので、まずは遺言書の有無を確認することが肝要です。

遺言の種類は大きく自筆証書遺言、公正証書遺言に分かれますが自筆証書遺言であれば事前に相続人の一人が預かっている場合や自宅の金庫などで保管しているケースなどが考えられます。

公正証書遺言も同様ですが、公正証書遺言については公証役場でも保管していますので、公証役場で遺言の有無を検索することが可能です。なお、自筆証書遺言は公正証書と異なり公証役場で保管されているわけではないのですが、令和2年7月から法務局にて遺言書保管制度が始まりましたので、この制度を利用している場合には法務局で遺言の有無を確認できる場合があります。詳しくは法務省の自筆証書遺言書保管制度の解説サイト」をご確認ください。

(2)遺言書の検認

遺言書があり、それが自筆証書遺言である場合には、具体的な期間制限はありませんが、「遅滞なく」遺言書の検認手続を行う必要があります。

遺言書の検認の目的は、遺言書の内容を明確化するだけでなく、遺言書自体を隠匿されたり、改変されたりすることを防ぐことにあるとされています。

遺言書の検認手続時には、相続人全員にその旨の通知がなされ、原則として相続人が家庭裁判所に出頭することになるので、遺産分割協議のきっかけを作るという副次的な効果も期待できます。

3 相続放棄・限定承認の申述

相続の方法としては、①単純承認、②限定承認、③相続放棄の3つの方法があります。

ここで、①単純承認とは、被相続人の権利義務を承継することを相続人が無限に承認することをいいます。また、②限定承認とは、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済するとの留保をつけて承認することをいいます。そして、③巣族放棄とは、相続人が遺産の相続を放棄することをいいます。

なお、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に限定承認又は相続放棄のどちらかを選択しなかった場合、単純承認をしたものとみなされます。

仮に被相続人に多額の負債があったり、その疑いがある場合に、限定承認又は相続放棄の手続をとらないままでいると、単純承認したことになり、被相続人の債務を負担することになってしまいますので、注意が必要です。

4 被相続人の所得の準確定申告・納付

確定申告をしなければならない者が翌年の1月1日から確定申告期限(原則として翌年3月15日)までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合、相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければならないとされています(準確定申告)。

この準確定申告を怠ると、相続人に無申告加算税、延滞税等のペナルティが課せられることになりますので、注意が必要です。

被相続人が確定申告をしなければならない者であったかどうかは複雑な基準があるところですが、生前に被相続人が確定申告をしていた場合は、ほぼ確実に準確定申告が必要になると考えられますので、被相続人が申告業務を依頼していた税理士に準確定申告も依頼するのが簡便であると考えます。

5 遺産分割協議

遺産分割協議を行うに当たっては、①相続人の範囲の確定、②遺産の範囲・評価の確定、③相続人の相続分の確定、④分割方法の確定の4つのステップを踏む必要があります。

どれも争いになることが多いですが、特に②遺産の範囲・評価の確定、③相続人の相続分の確定が争われることが多いです。

遺産をどのように評価すべきか、特別受益・寄与分をどのように考えるべきかなどを判断する際には、専門的な知識が不可欠となりますので、弁護士に依頼することを強くおすすめします。

6 相続税の申告・納付

相続税の申告まで10か月の期間がありますが、遺産分割協議等を行っているとあっという間に期限が到来してしまいます。そこで、相続税が課税される場合、早めに準備を行う必要があります。

また、各共同相続人の相続税納税額を明確化する見地から、相続税の申告期限までに遺産分割及びその履行までを終わらせることが望ましいとされています。もっとも、相続人は、各自法定相続分に従った形での申告が可能なので、無理に遺産分割協議を進める必要はないところです。

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弁護士法人G&S法律事務所

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