離婚が認められる4つの原因(離婚原因)|法的に離婚が認められるための条件を弁護士が解説

  • 配偶者(夫・妻)から離婚を拒否されている
  • 離婚したいけど決定的な理由がない
  • 自ら不貞行為をしてしまったのだが、離婚を求めたい

離婚したいと思う原因は夫婦によって様々で、話し合い(協議)によって離婚に合意できれば、離婚届を作成して市区町村に届け出ることで離婚が成立します。

他方で、配偶者(夫・妻)から離婚を拒否されている場合には、裁判により強制的に離婚を成立させることを求めることが考えられますが、裁判の場合、民法で定められている離婚原因がないと離婚を認めてもらうことができません。

このように、離婚を考えているけど、配偶者に合意してもらえなかった場合に、「どのような事情があれば離婚が認められるかわからない」「このような理由で離婚できるのだろうか」と悩まれる方も多くいらっしゃると思います。

本コラムでは、離婚が認められるための原因・条件、実際に離婚する際に多い原因などについて、離婚・男女問題に関して経験豊富な弁護士が、重要なポイントを解説します。

目次

1 夫婦が離婚する主な原因 

令和7年の司法統計によると、離婚調停の申立てをした人が申立時に選択した、離婚を希望する理由のランキングは、以下のとおりです。

これを見ると、離婚を希望する理由の1位は、男女とも「性格が合わない(性格の不一致)」であることがわかります。

女性が離婚を希望する理由の2位は「生活費を渡さない」と男女の収入格差を背景とした理由になっており、女性の3位&男性の2位は「精神的に虐待する」と、夫・妻からの精神的な圧力が離婚に至る原因のひとつであることがわかります。

夫妻
1位性格が合わない性格が合わない
2位精神的に虐待する生活費を渡さない
3位その他精神的に虐待する
4位異性関係暴力を振るう
5位浪費する異性関係
6位家族関係との折り合いが悪いその他
7位性的不調和不詳
8位暴力を振るう浪費する
9位同居に応じない性的不調和
10位不詳家庭を省みない

出典:令和7年司法統計年報 3家事編 第19表

このような理由で離婚を希望する状況に至ったときに、実際に離婚することができるのでしょうか。

これからどういった理由があれば離婚することができるのか、またそもそも何らかの理由を裁判所に認めてもらわなければ離婚することはできないのか、といったことについて解説していきます。

2 離婚手続きの流れと離婚原因が必要になる理由

海外では必ず何らかの裁判手続きを経なければ離婚することができない国が多いですが、日本では、結婚と同じように、夫婦両方が離婚に合意して市区町村に対して離婚届を提出するだけで離婚することができます。この場合、どのような理由で離婚するのかを問われることはありません。

このように夫婦間の話し合いにより、双方合意して離婚することを「協議離婚」といいます。

夫婦間の協議で離婚がまとまらない場合、離婚調停を家庭裁判所に申し立てて、調停委員の仲介で離婚に向けた話し合いを行うことができ、調停で離婚の合意がまとまった場合も、離婚に至った理由にかかわらず、離婚することができます。

このように家庭裁判所の調停手続を通じた話し合いにより、双方合意して離婚することを「調停離婚」といいます。

なお、離婚調停を経て離婚を成立させる手続きに「審判離婚」というものもありますが、こちらは夫婦間で離婚すること及びその大半の条件について合意できているにもかかわらず調停離婚を成立させられない場合などに、離婚調停における夫婦間の協議をふまえて裁判所が審判により離婚を成立させる手続きです。こちらも夫婦間で離婚すること自体について合意しているのであれば、どのような理由であっても離婚することができます。

しかし、夫婦のどちらかが離婚を拒否して、調停でも離婚を合意できなかった場合、裁判所に、判決で強制的に離婚させることを認めてもらわなければ離婚することはできません。これを「離婚訴訟」や「裁判離婚」といいますが、その場合は、法律上、4つの離婚原因のどれか一つに該当しなければ、離婚を認める判決を得ることができません。

関連記事:離婚手続きの流れと進め方|4つの離婚方法と事前準備

3 裁判で離婚が認められる法定離婚事由とは

法律上の離婚事由は、民法第770条1項で、以下の4つのケースが規定されています。

まず合意による離婚をめざすにあたっても、仮に裁判を行ったら離婚が認められる見通しが高いのであれば、離婚を申し入れる側としては強気の交渉ができますし、反対に裁判で離婚が認められる見通しが低いのであれば、条件面では譲歩をしてでも離婚に合意してもらうことを優先した交渉をすることも検討に値するので、法定離婚事由の有無について見通しをもつことは重要です。

(1)配偶者に不貞な行為があったとき(民法第770条1項1号)

1つ目は、配偶者(妻・夫)が不貞行為を行ったケースです。

不貞行為とは、貞操義務に違反して配偶者以外の異性と性的な関係を持つことをいいます。

ここで言う性的な関係とは、性行為をいいます。キス、抱きしめる、デートをするといった行為は、法律上、不貞行為ではありません。

一方で、不貞行為の定義としては、性的な関係を持つ相手が特定の相手であることや、一度きりではなく継続的に性的な関係を持ったことまでは求められていません。

したがって、不貞行為を理由に離婚を求める場合は、配偶者が不貞行為を否定して離婚を拒絶しても、裁判所に離婚を認めてもらうために、配偶者が確実に不貞行為に及んだであろうことが明らかな証拠を確保することが重要です。

関連記事:不倫・浮気の証拠と収集方法

(2)配偶者から悪意で遺棄されたとき(民法第770条1項2号)

民法第752条で、夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならないと規定されています。

悪意の遺棄とは、この夫婦の同居、協力、扶助義務を、正当な理由なく、わざと果たしていないことをいいます。

具体的には、長期間、行先も告げずに自宅に帰ってこない、あるいは自宅から締め出して帰れないようにする、さらに収入があるにもかかわらず生活費(婚姻費用)の分担をしないといった状況が、悪意の遺棄の例に挙げられます。

もちろん、仕事の都合などで単身赴任をしているとか、配偶者のDVから逃れるために別居したなど、別居した目的、別居による相手方の生活状況、生活費送金の有無、期間などを総合的に考慮して、正当な理由があって同居をしていないといえる場合は悪意の遺棄には該当しません。

(3)配偶者の生死が3年以上明らかでないとき(民法第770条1項3号)

配偶者が3年以上にわたって生死不明になると、夫婦としての実体がないため、離婚原因として認められています。

生死不明とされるのは、手を尽くしても生きている痕跡が見つからない場合に限られます。単に音信不通というだけでは生死不明とは認められません。

どれくらい調べたら手を尽くしたと認められるかというと、警察に行方不明者届(捜索願)を提出し、住民票を取得して転居届が出ていないか確認し、配偶者の友人や職場の人に聞き取りをし、通常可能な手を尽くしても生きているか否かが不明の場合に限られます。

なお、生死不明の人については失踪宣告という制度もあります。失踪宣告は、7年以上(災害等に巻き込まれたことがきっかけの場合、1年以上)生死不明の場合、その生死不明の人が死亡したものとみなす制度なので、配偶者に対して失踪宣告が下されたときには、配偶者が亡くなったときのように婚姻は終了しますが、離婚したわけではないので、相続が発生します。また、配偶者について失踪宣告が下されたとしても、配偶者の血族との間の親族関係は終了しないので配偶者の親族(姻族)との縁を切りたい場合は、姻族関係終了届を提出する必要があります。

(4)その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき(民法第770条1項4号)

今まで解説した3つの離婚原因は、具体的にどういった理由があれば離婚事由に該当するか、ということが示されていますが、民法770条第1項4号の離婚事由は「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という抽象的な規定になっています。

婚姻を継続し難い重大な事由とは、到底円満な夫婦生活を期待できず、またその回復を期待することもできない状態、すなわち婚姻関係が破綻した、といえる状態に至っていることを指します。

そして、裁判所は、婚姻中の夫婦の行為や態度、婚姻生活を続ける意思の有無、夫婦の年齢・性格、子の有無や状態、経歴や資産状況といった、夫婦の婚姻生活の一切の事情を考慮して、夫婦の双方に婚姻を継続する意思がないこと、もしくは婚姻関係を修復させることが著しく困難な関係にまで陥っていることによって婚姻関係が破綻しているとして離婚を認める判決を下します。

ここでは、どのような事実があれば夫婦の婚姻生活のその他一切の事情を考慮して婚姻関係が破綻していると判断できる可能性があるか、すなわち「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまりうる典型的な事由について解説します。

ア 相当長期間の別居

不貞行為やDVといった明確な責任がどちらかにあるわけではなくても、夫婦が不仲となって長期間の別居が続いている場合は、長期間の別居、という事実が、夫婦の双方に婚姻を継続する意思がないこと、そして婚姻関係を修復させることが著しく困難な関係にまで陥っていることの現れであるから、その夫婦の婚姻関係は破綻しており、婚姻を継続しがたい重大な事由があると認められることがあります。

「長期間の別居」の具体的な年数については、

結婚して何年目に別居を始めたか、具体的な別居のきっかけ、夫婦(子ども)の状況等によって裁判所の判断は異なるので一律に決めることはできませんが、不仲が原因で別居した場合は別居時から数え、別居時は不仲でなかったがその後に不仲となった場合(例えば、別居を始めたときは単に一方の仕事の都合で単身赴任をしていたが、単身赴任中に不仲になって全く自宅に帰らなくなった場合など)は不仲となったときから数えて、約3年が一つの目安とされています。

イ 暴行・虐待行為(DV・モラハラ)

離婚原因となるDV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者からの一方的な暴力をいいます。

暴力として典型的なのは殴る蹴るといった身体的な暴力ですが、言動によって心身を傷つける行為(モラハラ(モラルハラスメント)と呼ばれることがあります)も、精神的な暴力としてDVの一態様に当たることがあります。

DVのみを理由とする離婚が認められるには、DVのみによって婚姻関係の修復が著しく困難な状況に陥っていることが裁判所の目から見て客観的に明らかであること、すなわち、たった一回、何らかのきっかけがあって平手打ちをした、という程度では足りず、DVの頻度や期間、程度などに鑑みて甚大な被害が生じており、そのことが証拠から明らかであることが必要になります。

もっともDVをきっかけに離婚を決意して別居を始めた場合、DVの態様だけではなく別居をしたことによって婚姻関係を継続する意思がないことを明確にしたことや、別居後の夫婦双方の言動から、婚姻関係が破綻していることが明らかであると裁判所が認定できることもあります。

なので、現在、DVの被害にあっている方は、「この程度のDVで離婚が認められるだろうか」と悩まれるより、まず心身の安全を確保するために別居することを検討すべきですし、それと並行して別居後の生活やその後の離婚協議の申し入れ方など、早急に弁護士に相談するのが望ましいです。

ウ 重大な病気・障害

配偶者に重大な病気や障害で回復の見込みがない場合、配偶者の生活の具体的方途の見込みがついたときは、離婚が認められることがあります。

これは、重大な病気や障害によって夫婦の精神的交流が失われ婚姻関係が形骸化している場合に、一方の意思で離婚を認めるというものです。

なお、以前は同じ考え方で「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」という法定離婚事由も規定されていました(旧民法第770条1項4号)が、2026年4月1日施行の改正民法により削除されました。

エ 過度な宗教活動

夫婦間といえど、どのような信仰をするかということについては個人の自由ではありますが、配偶者の行き過ぎた宗教活動によって、夫婦生活や育児に支障をきたし、夫婦関係が修復不可能なほどに悪化、すなわち婚姻関係が破綻している場合は、離婚理由として認められることがあります。

オ 勤労意欲・生活能力の欠如

配偶者が過度の飲酒、賭博などにふけり、仕事も家事、育児等もせず、協力して家庭を営むことが難しい場合、悪意の遺棄に該当しなくても「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当することがあります。

カ 犯罪行為

配偶者の犯罪行為によって家庭に深刻な悪影響が及び、配偶者との関係が破綻している場合には、離婚が認められることがあります。

キ 性の不一致・セックスレス

性の不一致やセックスレスは、それだけで直ちに離婚が認められるわけではありませんが、性の不一致やセックスレスが原因で夫婦関係が破綻していれば、離婚原因と認められることがあります。

具体的には、ケガや病気などで性行為に支障があるわけではないのに、長期間にわたって性行為を一方的に拒絶し続けることが、離婚原因とされることがあります。

これに対して、性行為のできない原因がケガや病気などにあって治療を行っている場合や、夫婦双方の意思で性行為をしていないような場合は、離婚原因となりません。

ク 親族との不和

配偶者の親族に問題があって不和となっている場合でも、配偶者との関係が良好であれば離婚原因とはなりません。

しかし、親族問題が高じて配偶者との関係も破綻した場合には、離婚が認められることがあります。

4 有責配偶者からの離婚請求は認められるか

自分が不貞行為を行った側であるなど、自分に離婚原因のある者を、有責配偶者といいます。有責配偶者からの離婚請求は、原則として認められません。

ただし、判例では、有責配偶者からの離婚請求であっても、夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合で、ほかに特段の事情のない場合には、離婚が認められる場合があるとしています(最判昭和62 年9月2 日)。

具体的に、どの程度の長期の別居期間があれば離婚請求が認められるでしょうか。

有責性の重さや、夫婦の年齢、同居期間の長さなどによって異なりますが、約8年程度が一つの目安とされています。

5 明確な法定離婚事由がない場合

ここまでお話しした内容を見て、「離婚したいと思っているが、自分たちの状況では明確なり法定離婚事由がないのではないか。それでも離婚したいと思っている場合はどうすればよいのか。」とお考えの方もいらっしゃると思います。

しかし、ご自身の家庭の出来事を客観視することは非常に困難ですし、特に「婚姻を継続し難い重大な事由」という抽象的な離婚事由に該当するか否かの判断は個別の事情に基づいて専門的な判断が必要なものです。

例えば、一度の程度としては軽微であるが長期間にわたるDVやモラルハラスメントを受け続けていた方など、ご自身では「このくらい当たり前」と慣れてしまっていたために、離婚事由がないかもしれないとお考えの場合もありますし、一つ一つの出来事は婚姻関係が破綻するに至るほどのものでなくともその積み重ねによってすでに破綻しているといえる状況に陥っている場合もあります。

また、冒頭でお話しさせていただいたとおり、そもそも離婚事由が必要になるのは、配偶者が離婚すること自体に応じてくれない場合です。

あなたが、絶対に関係を修復するつもりはない、という意思を強く示しているのにもかかわらず配偶者が離婚に応じてくれないのにはいくつかの理由があると思われます。

もちろん、感情的に離婚に応じられないということもありますし、離婚後の生活や子どもとの交流が途絶えないかという不安が理由ということもあります。

離婚後の生活や子どもとの交流が途絶えないかという不安が原因で離婚に応じてくれないのだとすると、双方冷静に話し合って離婚するにあたって納得のいく条件を取り決めることによってその不安を解消することができれば、最終的に離婚に応じてくれる可能性は大いにあります。つまり協議離婚、調停離婚を目指して話し合いをして、それがまとまれば離婚事由があることを裁判所に認めてもらう必要はありません。

さらに、離婚を申し入れたところ断られたために別居を始めた場合は、その理由や態様次第で年数は変わりますが、いずれ「相当長期間の別居」として「婚姻を継続し難い重大な事由」があると認められる可能性もありますし、単に、ある程度の期間別居をすることで離婚を拒絶していた配偶者も関係の修復をあきらめて、離婚に応じてくれるようになる可能性もあります。

したがって、離婚事由がないのではないかと悩んでいらっしゃったとしても、まずは、今、あなたがなぜ離婚したいと考えているのか、ということを明確に整理していただいたうえで、本当に法定離婚事由があるとはいえないのか、弁護士や裁判所が介入することで冷静に条件面の話し合いをすれば離婚に応じてくれる可能性があるのではないか、どうしても配偶者が離婚に応じてくれない場合は別居を始めればいずれ離婚できるのではないか、といった点について弁護士に相談してみるべきでしょう。

6 まとめ(締め)

以上のとおり、離婚について合意できずに裁判となった際には、民法が定める離婚原因が必要となるのはもちろん、どのように交渉をしていくかという方向性を検討するためにも、配偶者に対して離婚を求める段階から、個別具体的な事例に応じて、弁護士の判断を仰ぐことが望ましいです。

G&Sでは、協議離婚から裁判離婚までの流れを踏まえて、経験豊富な弁護士が個別具体的な事情に応じた最適な方法を考えて離婚をサポートします。離婚・男女問題については、G&Sまでお気軽にご相談ください。

著者のイメージ画像

弁護士法人G&S法律事務所

G&Sは、様々なフェーズ・業種の企業の法律業務に対応した実績・経験を有する弁護士を擁し、クライアントが直面する法律問題全般に対して精通した「ゼネラリスト」、かつ各分野の「スペシャリスト」として、リーガル・サービスを提供しております。 スタートアップ支援、医療法務、不動産・建設法務の3つの専門領域で培ったノウハウを背景に、一般企業法務、人事労務、M&A・組織再編、内部統制・コンプライアンス、IPO支援、相続・事業承継、一般民事事件の各分野に精通した弁護士が、お客様のビジネスの遂行、利益の最大化のために、具体的な解決策をご提案いたします。